規定打席は、打率・出塁率などの順位に載るために必要な打席の数です。プロ野球では「チームの試合数 × 3.1」で、143試合なら443打席になります。投手の防御率などの順位には、同じように「規定投球回」(チームの試合数 × 1)が使われます。
打率や防御率のような「率」の成績は、数試合しか出ていない選手でも、極端に良い数字になることがあります。規定打席・規定投球回は、ある程度出場した選手だけで順位を比べるための基準です。この記事では、計算方法と、7回制の試合や試合数の少ないチームでの決め方を解説します。
規定打席・規定投球回の計算方法
規定打席 = チームの試合数 × 3.1
規定投球回 = チームの試合数 × 1
| リーグ | 試合数 | 規定打席 | 規定投球回 |
|---|---|---|---|
| 日本のプロ野球(NPB) | 143 | 443 | 143 |
| メジャーリーグ(MLB) | 162 | 502 | 162 |
NPB の公式記録では、規定打席の端数は四捨五入です(143 × 3.1 = 443.3 → 443。出典:NPB「打撃成績」)。規定投球回の 1 は、1試合あたり1イニングという意味です(出典:NPB「投手成績」)。
ポイントは、選手本人の試合数ではなく、チームの試合数で決まることです。けがや不調で試合に出なかった期間があると、その分だけ規定に届きにくくなります。
「打数」ではなく「打席」で数える理由
規定は、以前は「規定打数」でした。打数には四球が入らないため、四球の多い打者ほど、規定に届きにくい仕組みだったのです。
1954年には、メジャーリーグのテッド・ウィリアムスが打率 .345 を残しながら、四球が136あって規定打数に届かず、首位打者になれませんでした。選球眼のよい打者が順位から外れるのはおかしい、という考えから、1957年に「規定打席」に変わりました(出典:Number Web「規定投球回数はもう時代遅れ?」)。
打席と打数の違いは「打率とは?」で解説しています。
規定打席に届かなくても、首位打者になれる場合がある
公認野球規則には、規定打席に足りない打者でも、足りない打席の数を「凡退した打数」として足しても1位なら、その打者を1位とする決まりがあります(打率・長打率・出塁率)。
2011年のイースタン・リーグ(二軍)では、楽天の銀次選手が、規定打席に3打席足りませんでした。打率は .345(249打数86安打)です。3打数を足して計算し直すと、86 ÷ 252 ≒ .341 で、規定打席に届いた打者で最も高かった .330 を上回ったため、首位打者になりました(出典:ベースボールチャンネル)。
表彰されるときの打率は、足す前の .345 のままです。足した数字は、1位かどうかを決めるためだけに使います。
規定が無いと、順位はどうなるか
規定が無いと、出場の少ない選手が上位に並びます。次の3人を、打率の順に並べてみます。
| 選手 | 打数 | 安打 | 打率 |
|---|---|---|---|
| A | 2 | 2 | 1.000 |
| B | 5 | 3 | .600 |
| C | 120 | 40 | .333 |
1年を通して試合に出て、120打数40安打の選手Cが3位になってしまいます。選手Aは、たまたま2本のヒットが出ただけかもしれません。数字が少ないうちは、1本のヒットで率が大きく動くため、規定で「比べてよい選手」を決めているのです。
規定が使われるのは、打率・防御率のような「率」の順位だけです。本塁打・打点・奪三振のような「数」の順位は、たくさん出場した選手ほど数が増えるので、規定はありません。
7回制の試合では、イニングに合わせて減らす
3.1打席・1イニングは、9回の試合を前提にした数字です。7回制の試合(中学野球や草野球、ソフトボールなど)では、1試合で回ってくる打席も、投手が投げるイニングも少なくなります。9回の試合と同じ規定にすると、届く選手がほとんどいなくなります。
そこで、イニングの数に合わせて減らす方法があります。
- 規定打席:1試合あたり 3.1 × 7 ÷ 9 ≒ 2.41打席
- 規定投球回:1試合あたり 1 × 7 ÷ 9 ≒ 0.78回
7回の試合を8試合したチームなら、規定打席は 8 × 3.1 × 7 ÷ 9 ≒ 19.3 で 19打席、規定投球回は 8 × 7 ÷ 9 ≒ 6.2 で 6回 です。
これは公認野球規則に書かれた計算ではなく、9回の試合の規定を、イニングの割合で縮めた考え方です。Bmcs は、この方法で規定を計算しています(下の「Bmcs で規定打席・規定投球回を使う」)。
試合数の少ないチームでの決め方
プロの規定は、主力の選手が毎試合に出ることを前提にしています。仕事や学校の都合で、全員が毎試合に来られないチームでは、計算どおりの規定だと、届く選手がほとんどいないことがあります。
たとえば、7回の試合を年に20試合するチームの規定打席は、20 × 3.1 × 7 ÷ 9 ≒ 48打席です。20試合のうち12試合に出た選手は、1試合に3打席立っても36打席で、届きません。
そのようなときは、チームで規定を決めておくのがおすすめです。
- 「チームの試合の半分以上に出た選手」を基準にする:上の例なら、10試合 × 2.41 ≒ 24打席。よく来る選手が順位に入り、たまに来る選手は外れます
- シーズンの前に決めておく:年間の首位打者などを表彰するなら、結果を見てから基準を変えると不公平に見えます。先に決めて、チームに伝えておきましょう
- キリのよい数にする:「30打席以上」「10イニング以上」のように、分かりやすい数を決めます
「試合数 × 3.1」で厳密に計算して首位打者を決めるのは、プロ野球くらいかもしれません。わたしもあまり詳しくはないのですが、わたしがいた大学のリーグでは、3.1を掛けるのではなく、決められた打席数に届いていればよいというルールだった気がします。そうしないと、規定に届くために、レギュラーはほとんどの試合に出ずっぱりになってしまいますからね。
規定投球回は、規定打席より厳しくなりやすい点にも注意が必要です。1人の投手が毎試合完投するならよいのですが、何人かで分けて投げるチームでは、計算どおりの規定に届く投手は、エースの1人だけになりがちです。防御率の順位で何人かを比べたいなら、規定投球回は少なめに決めましょう。
シーズンが始まってすぐは、規定に届く選手が少なく、順位が毎試合のように入れ替わります。数試合の時点では、規定にとらわれず全員の成績を眺めるのもよいでしょう。
Bmcs で規定打席・規定投球回を使う
Bmcs は、確定済みの試合の数とイニングから、規定打席・規定投球回を自動で計算します。
- 1試合ごとに、最後の回までのイニングで数えます(9回の試合なら3.1打席・1回、7回の試合なら約2.41打席・約0.78回)。延長戦は9回として数えます
- 端数は切り捨てです(NPB の規定打席は四捨五入なので、1つ違うことがあります)
- 「成績」の画面の上位の表では、打率・防御率など率の項目にだけ規定を使い、本塁打・奪三振など数の項目は全員から選びます。チームページの「成績トップ」も同じです
- 「投手成績詳細」「野手成績詳細」では、どの項目で並べ替えても、規定に届いた選手だけが並びます
今の規定の数は、「成績」の画面の絞り込みの欄に出ます。

チームで決めた規定で順位を見たいときは、この欄に打席数・イニング数を入れて「表示」を押します。入れた数はその表示のときだけ使い、保存はされません(チームページの「成績トップ」は、自動で計算した数のままです)。規定に届かない選手も含めて全員を見たいときは、「規定除外」を選びます。
「直近の試合」(直近5試合など)で絞り込んだときは、試合数が少ないため、規定は使わずに全員を並べます。「公開チーム成績」でほかのチームと比べるときは、チームごとに計算した規定の平均を使います。
試合結果のみで入力する試合は、選手ごとの「打席」も入れておきましょう。規定打席は、打数ではなく打席の数で判定します。
また、イニングの得点の欄は最初は9回分あります。7回の試合は「最後の回を削除」で欄を7回にしておきましょう。欄が9回のままだと、9回の試合として規定を数えます。
画面の操作は「試合を確定する・成績を見る」をご覧ください。
まとめ
- 規定打席は「チームの試合数 × 3.1」、規定投球回は「チームの試合数 × 1」。率の成績の順位に載るための基準です
- 選手本人ではなく、チームの試合数で決まります。打数ではなく打席で数えるのは、四球の多い打者が不利にならないようにするためです
- 規定打席に足りなくても、足りない分を凡退として足して1位なら、首位打者になれます
- 7回制の試合では、イニングの割合(7 ÷ 9)で減らすと、9回の試合と同じ考え方で比べられます
- 毎試合全員がそろわないチームでは、「試合の半分以上に出た選手」などの基準を、シーズンの前に決めておくのがおすすめです
規定に届いた選手の打率は「打率とは?」、投手の防御率は「防御率とは?」で、見方を解説しています。Bmcs は無料で、スマホから試合のスコアを入力できます。まずはサンプルチームで体験してみてください。