防御率は、投手が9イニング(1試合)を投げたら、何点の自責点を取られるかを表す数字です。数字は小さいほど良い投手です。投手の成績で、最もよく使われる指標の1つです。
ただし、防御率に入るのは「失点」ではなく「自責点」です。また、9イニングを1試合として計算するため、7回制の試合(中学野球や草野球など)では、読み方に少しコツがあります。この記事では、計算方法とあわせて、その2つを解説します。
防御率の計算方法
防御率は、次の式で計算します。
防御率 = 自責点 × 9 ÷ 投球回
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 自責点 | 投手の責任で取られた点(失策などがからまない点。下の「自責点と失点の違い」で説明します) |
| 投球回 | 投手が取ったアウトの数 ÷ 3 |
| × 9 | 9イニングあたりの数字にそろえる(たくさん投げた投手と、少し投げた投手を比べられるように) |
投球回は、アウト1つが 1/3 回です。たとえば、1回から投げて、6回にアウトを1つ取ったところで交代したときは「5回1/3」で、計算では 5と1/3(約5.33)で割ります。
計算してみましょう
ある投手の1シーズンの成績が、次のとおりだったとします。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 投球回 | 21 |
| 失点 | 11 |
| 自責点 | 7 |
防御率:7 × 9 ÷ 21 = 63 ÷ 21 = 3.00
9イニングを投げると、平均して3点の自責点を取られる投手、ということになります。失点は11ですが、そのうち4点は失策などがからんだ点なので、防御率には入りません。
自責点と失点の違い
失点は、その投手が出した走者がホームに返った数です(交代した後に返った走者も、塁に残した人数までは、前の投手の失点になります)。自責点は、そのうち投手の責任で取られた点です。失点から、次のような点を除いたものが自責点になります。
- 失策(エラー)で出塁した走者が返った点
- 失策・捕逸(パスボール)がなければ進めなかった塁から返った点
- 失策がなければ3つ目のアウトが取れていたのに、そのあとに取られた点
ここでいう失策には、投手自身の失策も含まれます(公認野球規則 9.16)。投手がゴロをはじいて出した走者が返っても、自責点にはなりません。「自責」点なのに、自分のミスで取られた点が入らないのは、少し気持ち悪いですね。防御率を悪くしたくない投手が、わざとエラーしたら……と考えてしまいます。
最後の1つは、失策の多い試合でよくある場面です。たとえば、2アウトから内野ゴロを失策して打者が出塁し、次の打者に2ランホームランを打たれたとします。この2点は投手の失点ですが、失策がなければ3アウトでチェンジだったので、2点とも自責点にはなりません(ホームランを打った打者の点も含みます)。
暴投(ワイルドピッチ)は投手のミスなので、暴投で進んだ走者が返った点は自責点になります。同じように投球がそれても、捕手のミスとされる捕逸(パスボール)は自責点になりません。
自責点の細かい決まりは、公認野球規則の「自責点」の項目に書かれています。迷う場面は、チームで判断をそろえておきましょう。
7回制の試合で見るときのコツ
防御率は「9イニングを投げたら何点か」の数字です。プロ野球は9回制なので、防御率がそのまま「1試合あたりの自責点」の目安になります。
ところが、中学野球や草野球などは7回制や時間制限のある試合が多く、1試合が9イニングより短いのが普通です。そのため、防御率と「1試合あたりの自責点」がずれます。
| 例 | 1試合あたりの自責点 | 防御率 |
|---|---|---|
| 7回制の試合を、毎試合3点(自責点)で完投 | 3 | 3 × 9 ÷ 7 = 3.86 |
| 9回制の試合を、毎試合3点(自責点)で完投 | 3 | 3 × 9 ÷ 9 = 3.00 |
同じ「毎試合3点」の投手でも、7回制では防御率が 3.86 になります。防御率は、7回制の試合では「1試合あたりの自責点」より大きく出ると覚えておきましょう。
それなら、7回制の試合では7イニングあたりで計算すればいいのでは、と思うかもしれません。ただ、防御率を7イニングあたりで表示することは、ほとんどありません。防御率は、基本は9イニングあたりと思っておいて大丈夫です。
なお、これは野球の話です。ソフトボールでは、7イニングあたり(自責点 × 7 ÷ 投球回)で計算するのが一般的です(オリンピックの成績なども7イニングあたり)。Bmcs は、ソフトボールのチームでも9イニングあたりで計算しているため、ソフトボールの大会の記録と比べるときは、Bmcs の防御率 × 7 ÷ 9 で直してください。
7回制の試合で「1試合で何点くらい取られるか」を知りたいときは、防御率 × 7 ÷ 9 で計算できます(防御率 3.86 なら、3.86 × 7 ÷ 9 ≒ 3.0点)。
9イニングあたりにそろえておくと、7回制と9回制、5回で終わった試合などが混ざっていても、同じ物差しで比べられます。また、下の目安(プロの数字)とも比べられます。
防御率の目安
メジャーリーグ(MLB)でよく使われる目安は、次のとおりです。
| 防御率(目安) | 評価(小さいほど良い) |
|---|---|
| 2.50 前後 | 非常に優秀 |
| 3.00 前後 | 優秀 |
| 3.40 前後 | 平均より上 |
| 3.75 前後 | 平均 |
| 4.00 前後 | 平均より下 |
| 4.30 前後 | 悪い |
| 4.60 前後 | 非常に悪い |
出典:FanGraphs「ERA」(英語。表を日本語にしたもの)。その年のリーグ全体の傾向によって、平均の値は変わります。出典では、救援投手はこの目安から0.5を引いて見るとしています。救援投手は短いイニングを投げるため、先発投手より防御率が小さくなりやすいからです。
防御率の目安は、時代で大きく変わる
防御率の目安は、使うボールや、打者と投手のどちらが有利な時代かによって、大きく変わります。日本のプロ野球(NPB)の最優秀防御率(そのリーグで防御率がいちばん良かった投手)を見ると、よく分かります。
| 年 | リーグ | 最優秀防御率 | 時代 |
|---|---|---|---|
| 2000 | パ・リーグ | 3.27 | 打者が有利だった時代 |
| 2004 | パ・リーグ | 2.90 | 同上 |
| 2011 | パ・リーグ | 1.27 | 反発の低い統一球を使い始めた年 |
ボールが飛ぶ時代は、2点台後半(年によっては3点台)でもリーグで1番になりました。反対に、低反発のボールの時代は、2011年のパ・リーグで、規定投球回に届いた投手のうち4人が防御率1点台でした(最優秀防御率の田中将大投手は1.27)。
出典:NPB「2000年度 パシフィック・リーグ」・「2004年度」・「2011年度」。防御率の数字を見るときは、その年・そのリーグの中で比べるのが大切です。
学生野球や草野球で見るときの注意
上の目安は、プロの打者を相手にした数字です。学生野球や草野球では、相手打者のレベルが大会やリーグごとに大きく違うため、目安をそのまま当てはめるより、チームの中で比べるのがおすすめです。
- 投球回の少ない投手の防御率は、大きくぶれます。1イニングだけ投げて自責点1なら、防御率は 9.00 です。
- 失策が多い試合では、失点と自責点の差が大きくなりがちです。防御率が良くても、失点が多い投手は、守備に助けられていない(または、ピンチで崩れやすい)のかもしれません。失点を9イニングあたりにした数字の失点率もあわせて見ると、実際に試合で取られている点が分かります。
- 自責点は、最後はスコアをつける人の判断です(下の「Bmcs で防御率を見る」)。迷いやすい場面の扱いを決めておくと、投手どうしを比べやすくなります。
- 防御率は、点を取られなかったかを見る指標です。走者を出さない安定感は「WHIPとは?」で解説している WHIP で見られます。
Bmcs で防御率を見る
Bmcs では、試合を入力して確定すると、投手ごとの失点・自責点と防御率を自動で計算します。
自責点の入れ方:試合をプレー毎に入力するときは、ホームに返った走者ごとに「自責点」が付きます。結果が「失策」の打席や、捕逸・失策で進んで返った点は、最初から自責点が外れています。付かない点のときは、押して外します(「試合を入力する(プレー毎)」)。試合結果だけを入力するときは、投手ごとに失点・自責点の数を入れます。
ただし、Bmcs が最初に決める自責点は、その打席のプレーだけを見た目安です。前の打席で失策によって出塁した走者が、あとの打者の安打で返ったときや、2アウトから失策があった後の点などは、自動では判断できません。自責点かどうかは、最後はスコアをつける人の判断が必要です。スコア入力では、ここがいちばん面倒なところかもしれません。迷ったときは、上の「自責点と失点の違い」を参考に、「得点」の欄の「自責点」を押して外してください。盗塁・暴投などで打席の途中に入った得点も、同じように外せます(「打席の途中の走者のプレー」)。
Bmcs の防御率は、7回制の試合でも 9イニングあたり(自責点 × 9 ÷ 投球回) で計算します。上の「7回制の試合で見るときのコツ」のとおりに読んでください。
メニューの「成績」には、規定投球回に届いた投手の防御率の順位が、小さい順に出ます(規定投球回の考え方は「規定打席・規定投球回とは?」)。

失点・自責点・失点率(9回)は、「投手成績詳細」で防御率と同じ行に並んでいます。防御率と失点率の差が大きい投手は、失策や捕逸がからんだ、自責点にならない点を多く取られています。
全員の一覧の見方や並べ替え、規定投球回の変え方は「試合を確定する・成績を見る」をご覧ください。
まとめ
- 防御率 = 自責点 × 9 ÷ 投球回。9イニングを投げたら取られる自責点の見込みで、小さいほど良い投手です
- 失策(投手自身の失策も含む)・捕逸がからんだ点や、失策がなければチェンジだった後の点は、自責点に入りません。最後はスコアをつける人の判断が必要です
- 野球の防御率は、7回制の試合でも基本は9イニングあたりです。そのため、「1試合あたりの自責点」より大きく出ます(1試合あたりは、防御率 × 7 ÷ 9)。ソフトボールは7イニングあたりが一般的です
- 目安は、3.40 前後で平均より上、3.00 前後で優秀、2.50 前後で非常に優秀(メジャーリーグの場合)。ただし、目安は時代やボールで大きく変わります
投手の安定感を表す指標は「WHIPとは?」、三振を取る力は「奪三振率とは?」、先発投手が試合を作ったかは「QS(クオリティスタート)とは?」、打者の総合的な力を表す指標は「OPSとは?」で解説しています。
防御率は、自責点の判断をそろえて記録を続けるほど、比べやすい数字になります。Bmcs は無料で、スマホから試合のスコアを入力できます。まずはサンプルチームで体験してみてください。