刺殺は、アウトを成立させた野手に付く記録です。フライを捕った野手、送球を受けて塁を踏んだ野手、走者にタッチした野手が刺殺です。補殺は、そのアウトのために送球した(打球をはじいて方向を変えた)野手に付きます。たとえば遊撃手がゴロを捕って一塁へ投げてアウトにしたら、遊撃手に補殺、一塁手に刺殺が付きます。スコアブックで「6-3」と書くプレーです。
刺殺はアウト1つにつき必ず1人ですが、補殺は1つのアウトに何人にも付くことがあり、1人も付かないこともあります。この記事では、刺殺・補殺の決まり(公認野球規則 9.09・9.10)と、併殺や挟殺など迷いやすい場面の記録の例、守備位置による数の違い、刺殺・補殺から計算する守備率を解説します。
刺殺とは
刺殺(英語では putout。PO と略します)は、次のどれかで打者・走者をアウトにした野手に付きます(公認野球規則 9.09)。
- フライ・ライナーを捕った(フェアでもファウルでも同じ)
- 打球や送球を捕って、塁を踏んだ(一塁でのアウトや、二塁での封殺など)
- 塁を離れている走者にタッチした
アウト1つには、刺殺がちょうど1つ付きます。そのため、チームの刺殺の合計は、守っている間に取ったアウトの数と同じになります。9回を守り切れば27、7回制の試合なら21です。
三振は、捕手の刺殺
三振のアウトは、捕手の刺殺です。三振を取ったのは投手ですが、投手には刺殺も補殺も付きません。第3ストライクを捕手が捕れず、一塁へ送球してアウトにしたとき(振り逃げを防いだとき)は、捕手の補殺と一塁手の刺殺です。
三振のほかにも、プレーに関係なく捕手の刺殺にすると決まっているアウトがあります(公認野球規則 9.09(b))。
- 反則打球(打者席の外に足を完全に出して打ったなど)でのアウト
- 2ストライク後のバントがファウルになったアウト(スリーバント失敗)
- 打者がフェアの打球に自分で当たったアウト
- 打順を間違えた(打順の誤り)ときのアウト
補殺とは
補殺(英語では assist。A と略します)は、アウトになったプレーの中で、送球した野手、または打球・送球をはじいて方向を変えた野手に付きます(公認野球規則 9.10)。
- 送球した野手は、全員に補殺が付きます。外野からの返球を中継した野手にも付きます
- 打球をはじいた野手にも付きます。投手がはじいた打球を遊撃手が捕って一塁でアウトにしたら、投手と遊撃手の両方に補殺です。ただし、ボールにかすっただけで、勢いも方向も変わらなかったときは付きません
- 送球が正しく、受けた野手が落として失策になったときも、送球した野手に補殺が付きます。失策がなければアウトだったプレーだからです
- 挟殺(はさみ打ち)で同じ野手が何度投げても、補殺は1人に1つです
補殺が付かない場面
次の場面では、補殺を付けません。
- 三振の投手:投球は送球ではないので、三振を取っても投手に補殺は付きません(捕手が捕れなかった第3ストライクを投手が拾って、一塁へ投げてアウトにしたときは、投手の補殺です)
- 盗塁死・捕手の牽制での投手:捕手が投球を捕ってから投げてアウトにしたときは、投手ではなく捕手の補殺です(投手が自分で牽制してアウトにしたときは、投手の補殺です)
- 悪送球をした野手:悪送球で走者が先へ進み、そのあと続いたプレーでアウトになっても、悪送球をした野手には補殺を付けません。失策の後のプレーは、新しいプレーとして数えます
刺殺・補殺は、なじみの薄い記録
刺殺・補殺は、ふだん野球をしている人でも、あまりなじみのない記録です。打率や本塁打は知っていても、特に「刺殺なんて知らない」という人は多いのではないでしょうか。
わたしも小さいころは、補殺は外野手が送球でアウトにした数のことで、内野手には関係のない記録だと思っていました。実際は、上で書いたとおり、内野手がゴロを捕って一塁へ投げるたびに補殺が付きます。補殺が多くなるのは、遊撃手や二塁手などの内野手です。
スコアブックの「6-3」の読み方
スコアブックでは、守備位置を番号で書きます。
| 番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 守備位置 | 投 | 捕 | 一 | 二 | 三 | 遊 | 左 | 中 | 右 |
投手・捕手・一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手・左翼手(レフト)・中堅手(センター)・右翼手(ライト)の順です。
「6-3」のように、ボールが渡った順に番号を並べると、最後の番号が刺殺、それより前の番号が補殺です。6-3 なら遊撃手の補殺と一塁手の刺殺、8-6-2 なら中堅手と遊撃手の補殺と捕手の刺殺になります。一塁手がゴロを捕ってそのまま一塁を踏んだときは、補殺が無いので「3U」と書くことがあります(U は unassisted の頭文字)。
場面ごとの記録の例
| 場面 | 刺殺 | 補殺 |
|---|---|---|
| 遊ゴロで一塁アウト(6-3) | 一塁手 | 遊撃手 |
| 一ゴロで、一塁手が自分で一塁を踏んでアウト(3U) | 一塁手 | なし |
| 一ゴロで、ベースに入った投手へトスしてアウト(3-1) | 投手 | 一塁手 |
| 中堅へのフライを捕ってアウト | 中堅手 | なし |
| 三振 | 捕手 | なし |
| 振り逃げを防いで、捕手が一塁へ送球してアウト(2-3) | 一塁手 | 捕手 |
| 6-4-3 の併殺 | 二塁手(二塁での封殺)、一塁手(一塁でのアウト) | 遊撃手、二塁手(一塁への送球) |
| 盗塁を刺した(2-6) | 遊撃手(二塁でタッチした野手) | 捕手 |
| 投手の一塁への牽制でアウト(1-3) | 一塁手 | 投手 |
| 安打の後、中堅手のバックホームで走者が本塁アウト(8-2) | 捕手 | 中堅手 |
| 右翼手の返球を二塁手が中継して、本塁アウト(9-4-2) | 捕手 | 右翼手、二塁手 |
| 三本間の挟殺で、捕手→三塁手→捕手→三塁手と投げて、三塁手がタッチ | 三塁手 | 捕手(2回投げても1つ)、三塁手 |
| 遊撃手の正確な送球を、一塁手が落として打者が生きた | なし(アウトになっていない) | 遊撃手(一塁手には失策) |
| 走者がフェアの打球に当たってアウト | 打球にいちばん近い野手 | なし |
| インフィールドフライを、野手が落とした | 捕れたはずの野手 | なし |
6-4-3 の併殺では、二塁手が「受けて二塁を踏む(刺殺)」と「一塁へ投げる(補殺)」の両方をしているので、1つのプレーで刺殺と補殺が両方付きます。挟殺の三塁手も同じです。安打の後の本塁アウトのように、打者の記録(安打)とは別に、走者のアウトにも刺殺・補殺が付くことも覚えておきましょう。
最後の2つのように、守備が何もしていないのにアウトになる場面にも、規則で決まった野手に刺殺を付けます(公認野球規則 9.09(c))。アウト1つに刺殺1つ、の決まりを崩さないためです。
守備位置によって、数は大きく違う
刺殺・補殺の数は、守備位置によって大きく変わります。
- 一塁手:内野ゴロのアウトの多くで送球を受けるので、多くの場合、刺殺がいちばん多くなります
- 捕手:三振がすべて捕手の刺殺なので、三振の多い投手と組むと刺殺が増えます。補殺は、盗塁を刺した数や、バント・振り逃げの処理の数です
- 遊撃手・三塁手・二塁手:ゴロを捕って一塁へ投げるので、補殺が多くなります。二塁手と遊撃手は、併殺や盗塁のときに二塁で送球を受けるので、刺殺も付きます
- 外野手:刺殺はフライを捕った数です。補殺は、本塁や塁へ返球してアウトにした数なので、1シーズンでも数えるほどです。外野手の補殺は、肩の強さや返球の正確さの目安になります(ただ、肩の強い外野手には、走者が無理に進まなくなるので、補殺が増えにくい面もあります)
- 投手:自分の前のゴロを処理したとき、牽制でアウトにしたときなどに補殺が付きます。三振では付きません
このため、刺殺・補殺の数は、同じ守備位置の選手どうしでしか比べられません。「一塁手の刺殺が多いから守備がうまい」とは言えないので、注意しましょう。
守備率の計算方法と注意点
守備率は、刺殺・補殺・失策から計算します。
守備率 =(刺殺+補殺)÷(刺殺+補殺+失策)
守備の機会(刺殺・補殺・失策の合計)のうち、失策をせずにアウトに関われた割合です。数字は大きいほど良く、失策が1つも無ければ 1.000 です。
たとえば、1シーズンで刺殺20・補殺35・失策5の遊撃手なら、(20+35)÷(20+35+5)= 55 ÷ 60 = .917 です。
守備率も、刺殺・補殺と同じく、守備位置によって高さが違います。送球を受けることの多い一塁手は高く出やすく、難しいゴロを捕って投げる遊撃手・三塁手は低く出やすいので、比べるのは同じ守備位置どうしにしましょう。
また、打球に追いつけずに安打になった打球は、失策にも刺殺・補殺にもならないので、守備範囲の広さは守備率に表れません。守備範囲の狭い野手ほど、難しい打球に触れずに失策が付きにくく、守備率が高く出ることもあります。
刺殺の合計で、スコアを確かめる
上で書いたとおり、刺殺の合計は、守っている間のアウトの数と同じになります。スコアをつけ終わったら、守備の回の刺殺を数えてみましょう。7回を守り切った試合で、刺殺の合計が21に足りなければ、どこかのアウトに刺殺を付け忘れています。
付け忘れやすいのは、次のような打者以外のアウトです。
- 盗塁死・牽制死の、タッチした野手の刺殺
- 安打の後の、本塁や先の塁でのアウト
- 二塁・三塁での封殺(併殺の、走者のアウトを含む)
- タッチアップで飛び出した走者のアウト
サヨナラ負けやコールドゲーム、最終回の裏が行われなかった試合などで、7回を守り切っていないときは、実際に取ったアウトの数と比べます。
Bmcs で刺殺・補殺を記録する
Bmcs のプレー毎の入力では、守備の回に打者がアウトになると、打球の種類と飛んだ場所から、刺殺・補殺を自動で付けます。下の写真は三ゴロのアウトで、三塁手の補殺と一塁手の刺殺(5-3)が付いたところです。

- ゴロのアウトは、打球を処理した野手の補殺と一塁手の刺殺、フライ・ライナーのアウトは、捕った野手の刺殺です。三振は捕手の刺殺、盗塁死は捕手の補殺、牽制死は投手の補殺が付きます
- 内野へのゴロの併殺は、走者のアウトの分も付きます(6-4-3 なら、遊撃手の補殺、二塁手の刺殺と補殺、一塁手の刺殺)
- 実際のプレーと違うときは、札の「変更」で野手を変えるか、「×」で消します。3-1 なら、刺殺を投手に変更し、一塁手の補殺を「+失策など」から足します
- 走者のアウト(安打の後の本塁アウト、併殺以外の二塁・三塁での封殺、盗塁死のタッチなど)と、中継した野手の補殺は、自動では付きません。「+失策など」やメニューの「打席中の刺殺・補殺を足す」から足します(「試合を入力する(プレー毎)」)
自動で付く分だけでも、打者のアウトの刺殺・補殺はほとんどそろいます。走者のアウトまで足しておくと、上の「刺殺の合計=アウトの数」が合い、守備率も実際に近くなります。
守備の記録は、無理に付けなくてもよい
刺殺・補殺は、アプリでスコアを入力するときでも、最後は人が判断して入れる記録です。単純な二塁ゴロなどなら自動で付きますが、中継のような単純でないプレーは、操作して付け直す必要があるので、記録するハードルは高めです。
守備の成績を管理しなくてよいなら、無理に入れる必要はありません。みんなが好きなのは、やっぱり打撃成績ですからね。でも、守備を頑張っている人を評価したいなら、ぜひ記録してあげてください。
試合結果のみで入力する試合では、失策のほか、「詳しい項目」の「刺殺」「補殺」に数を入れます。刺殺が空欄の選手は、その試合が守備率の計算に入らないので、刺殺が無かった選手にも「0」を入れておきましょう(「試合を入力する(試合結果のみ)」)。
守備位置ごとの記録と「アウトにした打球」
選手の分析の守備のタブでは、守備位置ごとに刺殺・補殺・失策・守備率を見られます(「選手の分析を見る」)。
上で書いたとおり、刺殺・補殺は 6-3 のように1つのアウトで2人に付き、刺殺は一塁手と捕手に偏ります。そこで Bmcs には、**打球を最初にさばいてアウトにした野手に1つ付ける「アウトにした打球」**という独自の項目があります。6-3 なら遊撃手に1つ、併殺も打球1つなので1つです(三振・走者のアウトは数えません)。守備位置が違う選手でも、どれだけ打球をアウトにしたかを、同じ物差しで比べやすくなります。
まとめ
- 刺殺はアウトを成立させた野手(フライを捕った・送球を受けて塁を踏んだ・タッチした)、補殺はそのアウトのために送球した、または打球をはじいた野手に付きます
- アウト1つに刺殺は必ず1つ。補殺は、1つのアウトに何人にも付くことも、付かないこともあります
- 三振は捕手の刺殺で、投手には付きません。盗塁死も、投手ではなく捕手の補殺です
- 正確な送球を受けた野手が落としたときも、送球した野手に補殺が付きます。挟殺で何度投げても、補殺は1人に1つです
- スコアブックの「6-4-3」は、最後の番号が刺殺、前の番号が補殺です
- 一塁手と捕手は刺殺、内野手は補殺が多くなるので、数は同じ守備位置どうしで比べます
- 守備率 =(刺殺+補殺)÷(刺殺+補殺+失策)。守備範囲の広さは表れず、守備位置でも高さが違います
- 刺殺の合計は、守備の回のアウトの数と同じです。合わなければ、走者のアウトの刺殺を付け忘れていないか確かめましょう
- 自動で付かない分まで付けるのは手間がかかります。守備を頑張っている人を評価したいチームは、ぜひ記録しましょう
刺殺・補殺を記録しておくと、守備率や、外野手の肩の強さなど、打撃の成績だけでは見えない選手の働きが分かります。失策を付けるかどうかの判断は「ヒットかエラーか?」で解説しています。Bmcs は無料で、スマホから試合のスコアを入力できます。まずはサンプルチームで体験してみてください。