球数制限は、投手の肩・肘の故障を防ぐために、1人の投手が投げられる球数の上限を定めた決まりです。日本の主な決まりでは、小学生(学童)は1日70球(4年生以下は60球)、中学生は1日100球、高校生は1週間500球が上限です。試合中に1日の上限(高校は1週間の上限)に達しても、そのとき投げていた打者の打席が終わるまでは投げられます。
この記事では、学童・中学・高校の球数制限の中身と、どの球を投球数に数えるか、試合の中で球数を記録・管理する方法を解説します。決まりは、全日本軟式野球連盟(全軟連)と日本高等学校野球連盟(日本高野連)が公表している資料で確かめた内容です。
球数制限の一覧
| 対象 | 1日 | 1週間 |
|---|---|---|
| 学童(5・6年生) | 70球 | 210球 |
| 学童(4年生以下) | 60球 | 180球 |
| 中学生(軟式) | 100球 | 350球 |
| 高校生 | 決まりなし | 500球 |
学童と中学は全軟連、高校(硬式・軟式)は日本高野連の決まりです。学童の1週間の上限は、2026年から加わりました。
出典:全軟連「学童部における一週間に係る投球数制限の導入について」(2025年10月24日)・「少年部(中学生)の投球数制限について」、日本高野連「高校野球特別規則(2025年版)」28
- 学童の1日70球は、正確には「1試合かつ1日」の上限です。1日に2試合あっても、合わせて70球までです。4年生以下の投手は、学年で判断します
- 中学の1日100球は「大会中の1日」の上限で、少年女子も同じです
- 高校の500球は、都道府県大会と、それに続く大会の日程を含めた1週間で数えます。雨などでノーゲームになった試合の球数も数えます。1日の球数の上限はありませんが、1人の投手が1日に投げられるのは15イニングまでです(タイブレークを定めた特別規則23の中の決まり)
硬式の中学生のチーム(リトルシニア・ボーイズなど)や、地域の大会・リーグには、それぞれの決まりがあります。所属する団体や大会の要項で確かめましょう。
参考までに、プロ野球には球数制限の決まりはありません。ただ、先発投手は100球前後を目安に交代することが多く、試合の中継でも、球数が100球に近づくと継投が話題になります。
決まりができた経緯
もともと全軟連は、投球数ではなく投球回で制限していました(学童・中学とも、基本は1日7イニングまで)。投球数での制限に変わったのは、学童は2019年(全国大会。都道府県の大会などは支部の判断)から、中学は2020年3月の全国大会からです。4年生以下の60球は、2020年に加わりました。学童の1週間の上限は、2026年のシーズンから加わった新しい決まりです。
高校の1週間500球は、2020年から試行で始まりました。2024年までの5年間の試行と検証を経て、2025年に正式な高校野球特別規則になっています。
全軟連は、参考資料として、日本臨床スポーツ医学会が示した全力投球数の目安(小学生は1日50球・週200球、中学生は1日70球・週350球)も載せています(出典:全軟連「連盟適用ルール」)。こちらは、試合だけでなく練習の全力投球も含めた目安です。大会の決まりは試合の球数の上限なので、練習で投げる量は、指導者が別に気を付ける必要があります。
上限に達した打席は、最後まで投げられる
学童・中学の1日の上限と、高校の1週間の上限は、どれも試合中に上限に達したら、そのとき投げていた打者の打撃が完了するまで投げられます。次の打者から、別の投手に交代します。
たとえば学童で、69球目を投げたあとに新しい打者を迎え、ファウルで粘られて8球を投げたら、その投手の投球数は77球になります。決まりの違反ではありません。
高校の決まりでは、500球に達して降板した投手は、その試合ではもう投げられません。
数える球・数えない球
投球数は、投手が打者に投げた球の数です。ストライク・ボールだけでなく、ファウルも打球も1球です。迷いやすいものを表にしました。
| 場面 | 投球数 | 根拠 |
|---|---|---|
| ファウル(2ストライク後も) | 数える | 打者に投げた球なので |
| 打球(安打・凡打) | 数える | 打席の最後の1球 |
| 牽制球 | 数えない | 全軟連(学童):牽制球や送球とみなされるものは数えない |
| ボークを宣告されたが、投げた球 | 数える | 全軟連(学童):ボークにかかわらず投球したものは数える |
| 申告敬遠 | 申告後は数えない | 日本高野連:申告後、その打者への投球数は加算されない |
| 試合前・回の初めの準備投球 | 数えない | 打者への投球ではない |
申告敬遠は、カウントの途中からでも申告できます。2ボールまで投げてから申告したら、投球数はその2球です。
全軟連の学童の決まりでは、投球数の管理は大会本部が行うとしています。高校も、試合のあとに大会本部と両チームで各投手の投球数を確かめます。大会では、大会本部が管理する数(高校は公式記録)で上限を判断します。
チームで投球数を記録しておく
大会本部が数えてくれるとしても、チームでも投球数を記録しておくのがおすすめです。
- 試合中に、あと何球投げられるかが分かる。上限の近い投手は、イニングの途中で交代させずに、回の頭から次の投手に任せる、のような準備ができます
- 1週間の上限は、何試合かを合わせて数える。土日に2試合ずつある週は、前の試合の球数が分からないと、次の試合で誰が何球投げられるか決められません
- 練習試合・紅白戦の球数も、投手の疲れには入る。大会の決まりは公式戦だけですが、肩・肘への負担は同じです
1イニングの球数で、投げられる回を見積もる
投げられる回の数は、1イニングあたりの投球数から見積もれます。
| 1回の球数 | 70球なら | 100球なら |
|---|---|---|
| 15球 | 約4回2/3 | 約6回2/3 |
| 20球 | 3回半 | 5回 |
| 25球 | 約2回2/3 | 4回 |
四球が多い試合は1イニングの球数が増えるので、70球は思ったより早く来ます。逆に、初球からストライクを取れる投手は、同じ70球でも長く投げられます。投手の育成で「ストライク先行」がよく言われるのは、球数制限のある試合では、そのまま投げられる回の差になるためです。
球数制限は、投手交代の判断を助けてくれる?
これはわたしの個人的な意見ですが、球数制限は投手交代の判断を助けてくれるものかもしれません。
もちろん、投手の選手層が薄いチームでは、エースをなるべく引っ張って試合を進めたいので、戦略上は不利に働くかもしれません。ただ、一定の球数が来たら投手交代をせざるを得ないので、交代させるか続投させるかの判断で迷うことがなくなります。
わたしも投手交代を決断する立場をやらせてもらったことがありますが、これはかなり難しい判断です。投手本人は「まだいける!」といっても、実は限界が来ていたりします。次の投手の調子が良ければいいですが、毎回そうとは限りません。
プロ野球の監督でも難しいと言われているので、投手交代に強制ルールがあるのは、「判断」という面ではプラスかもしれません。
Bmcs で投球数を記録する
Bmcs は、試合の入力方式を「1球毎」にすると、ボール・ストライク・ファウルを1球ずつ入力して、投球数を自動で数えます(無料です)。入れ方は、ヘルプの「試合を入力する(1球毎)」をご覧ください。
- スコア入力の画面の投手の欄に、その投手の今の投球数(「46球」のように)が出ます。あと何球かを確かめながら入力できます
- 牽制球は入力しません。ボークは走者のプレーとして入れ、投球には数えません。暴投・捕逸は、その球の間に起きたプレーとして入れるので、球数は1球です
- 申告敬遠は、「その他」から選びます。申告の前に投げた球だけを数えます
- 紅白戦などで「1ボール1ストライクから」と決めた試合は、始めのカウントを選べます。始めのボール・ストライクは、投球数に数えません
Bmcs は、上限に近づいたときの知らせや、1週間の合計は出しません。上限は大会や団体ごとに違うため、今の球数を見て、チームで判断しましょう。ボークを宣告されても打者へ投げた球(大会では数えます)のように、大会本部と数が違うことのある球もあります。
1球毎の試合では、試合のあとの試合結果の画面に「回ごとの投球数」が出ます。どの回に球数がかさんだかが分かります。

1球ずつ入れない「プレー毎」「試合結果のみ」の試合でも、試合結果の入力・確定の画面で、投手の「投球数」を手で入れられます(試合結果のみの入力)。大会本部が数えた球数を入れておくと、投手成績の「投球数」の合計に入ります。
1球毎で入力した試合は、チームを公開すると、選手の分析の投手のタブで、1試合あたり・1イニングあたりの投球数や、ストライク率・初球ストライク率も見られます。上の見積もりに使えます。
まとめ
- 球数制限は、投手の肩・肘の故障を防ぐための、投げられる球数の上限です
- 学童は1日70球(4年生以下60球)と、2026年から1週間210球(同180球)。中学は1日100球・1週間350球。高校は1週間500球です
- 上限に達しても、そのときの打者の打席が終わるまでは投げられます
- ファウルも打球も1球に数えます。牽制球は数えず、申告敬遠は申告の後の球を数えません
- 正式な数は大会本部のものですが、1週間の上限や練習試合の分まで考えるなら、チームでも記録しておきましょう
球数制限は、子どもたちが長く野球を続けられるようにするための決まりです。数えるのはスコアをつける人の役目になることが多いので、無理なく続けられる方法で記録しましょう。Bmcs は無料で、スマホから試合のスコアを入力できます。まずはサンプルチームで体験してみてください。