犠打(犠牲バント、SH)は、2アウトになる前に、走者を進めるためにバントをして、打者がアウトになったときの記録です。犠飛(犠牲フライ、SF)は、2アウトになる前に、外野へのフライ(ライナーを含む)が捕られて、そのあとに走者が本塁に還ったときの記録です。どちらも打数に入らないので、打率は下がりません。違いが出るのは出塁率で、犠飛だけが出塁率の分母に入ります。
この記事では、犠打と犠飛の違いと、それぞれが記録される条件・記録されない場面を整理します。スクイズの扱いや、成績への影響、Bmcs での入力方法も解説します。規則は、公認野球規則の 9.08 に書かれています。
犠打と犠飛の違い
| 犠打(犠牲バント) | 犠飛(犠牲フライ) | |
|---|---|---|
| 打球 | バント | 外野手が扱ったフライ・ライナー |
| アウトの数 | 0アウトか1アウト | 0アウトか1アウト |
| 付く条件 | 走者が次の塁へ進んだ | 捕球のあと、走者が本塁に還った |
| 打席 | 入る | 入る |
| 打数 | 入らない | 入らない |
| 出塁率の分母 | 入らない | 入る |
| 打点 | 走者が還れば付く(スクイズ) | 付く |
いちばんの違いは、犠打は走者が進めば付くのに対して、犠飛は点が入らないと付かないことです。二塁の走者が外野フライで三塁へ進んでも、犠飛にはなりません。
犠打(犠牲バント)になる条件
公認野球規則 9.08(a) では、次の条件がそろうと犠打になります。
- 0アウトか1アウトで
- 打者がバントをして
- 走者が進塁し
- 打者が一塁でアウトになった(または、失策がなければアウトになっていた)
安打を狙ったバントは、犠打にならない
送りバントではなく、打者が自分も生きようとしてバントした(バントヒットを狙った)と、スコアをつける人が判断したときは、犠打ではなく打数1になります。走者が進んでも同じです。
とはいえ、打者の気持ちは外からは見えません。規則の原注は、イニング・アウトの数・点差を考えて判断し、迷ったときは打者に有利に(犠打に)するとしています。たとえば、0アウト一塁で、1点を争う終盤にバントをしてアウトになったなら、まず犠打です。点差が大きく開いた場面で、走者がいるのにセーフティバントを試みたなら、打数にすることもあります。
犠打にならない場面
- 2アウトでのバント:走者が進んでも、犠打にはなりません。打者がアウトなら打数1です(2アウトでは、打者がアウトになるとチェンジなので、走者を進める意味がないためです)
- 先の走者がアウトになった:バントを処理した野手が、進もうとした走者をアウトにしたときは、犠打ではなく打数1です(9.08(c))。打者が一塁に生きても同じです。先の塁で野手が送球を落として走者が生きたとき(失策がなければアウトだったとき)も、犠打にはなりません
- バントが小フライになって捕られた:打者はアウトですが、フライのアウトなので犠打ではありません。走者が戻れずに併殺になることもあります
- 打者が一塁にセーフになった:野手がふつうに一塁へ送球しても間に合わなかったなら、犠打ではなく安打(バントヒット)です
野選・失策で打者が生きたとき
2アウト前のバントで、野手が先の走者をアウトにしようとして送球したものの、間に合わずに全員セーフになることがあります。このときは、野選ではなく犠打になります(9.08(b))。ふつうに一塁へ投げていれば打者をアウトにできたのに、先の走者を狙ったためです。ただし、ふつうの守備でも打者をアウトにできなかったときは、安打です。野選の扱いは、「野選とは?」で説明しています。
一塁への送球がそれたり、一塁手が落としたりして打者が生きたときは、犠打と失策の両方を記録します。失策がなければアウトだったので、犠打の条件を満たすからです。
ここはスコアを付け始めた人が失策だけにしてしまうのは、よくあるミスです。ちゃんと犠打と失策を両方つけましょう。そうでないと、打者の打率が下がってしまいますからね。
犠飛(犠牲フライ)になる条件
公認野球規則 9.08(d) では、次の条件がそろうと犠飛になります。
- 0アウトか1アウトで
- 打者が打ったフライかライナーを、外野手(または外野まで下がった内野手)が捕り
- 捕球のあとに、走者が本塁に還った
ファウルフライでも犠飛になります。外野のファウルゾーンでフライを捕られて、三塁走者がタッチアップで還ったときも、犠飛です。
落球しても犠飛になる
外野手がフライを落として走者が還ったときも、捕っていたとしても還れたはずとスコアをつける人が判断したなら、犠飛になります(9.08(d))。外野手には失策が付きます。浅いフライで、捕っていたら三塁走者が還れなかったと考えられるときは、犠飛にはならず、打数1と失策です。
ここも先ほどと同じです。打者がかわいそうなので、失策だけでなく犠飛もしっかりつけてあげましょう。
犠飛にならない場面
- 点が入らなかった:二塁走者がタッチアップで三塁へ進んでも、犠飛ではなく打数1です。三塁走者が本塁でアウトになったときも、打数1です
- 内野手が内野で捕ったフライ:内野フライで三塁走者が還ることはめったにありませんが、還っても犠飛にはなりません。外野まで下がって捕ったときは、犠飛になりえます
- 2アウトのフライ:捕球で3アウトになるので、点は入りません
なお、還るのは三塁走者でなくてもかまいません。深い外野フライで、二塁走者がタッチアップから一気に本塁まで還ったときも、犠飛です。
進塁打は、犠打・犠飛にならない
先に話したように、二塁走者がタッチアップで三塁へ進んでも犠飛にはなりません。よって打率は下がります。「進塁打」なので気持ち的には打数から除外してほしいですが、残念ながら打数の対象です。他にもわざと右打ちして三塁に進めるケースだったり、軟式野球のランナー三塁時の「叩き」(打球を地面に叩きつけて高く弾ませ、その間に三塁走者を還す打ち方)も犠牲にはなりません。
ただ、どれもチーム的には「貢献打」なので、成績的には一緒でも普通の凡打とは違います。進塁打は成績に残らないので、チームに貢献している人が見えにくいです。もし、チームにそのような働きをしている人がいたら、ぜひ評価してあげてください。
Bmcs では現在、進塁打などの項目はありませんが、ぜひ追加してほしいという要望があればお問い合わせからお願いします!
スクイズは犠打?
スクイズ(三塁走者を還すためのバント)は、送りバントと同じように扱います。
| 場面 | 打者の記録 |
|---|---|
| 三塁走者が還り、打者は一塁でアウト | 犠打、打点1 |
| 三塁走者が還り、野手が本塁へ投げたが間に合わず、打者も一塁にセーフ | 犠打、打点1(9.08(b)) |
| 三塁走者が本塁でアウト | 打数1(9.08(c))。打点なし |
| バントを空振りして、三塁走者が三本間でアウト | 打席は続く(2ストライクからの空振りなら三振)。走者には盗塁死などを記録 |
スクイズで入った点は、打者の打撃による得点なので、打点が付きます。打点が付く場面・付かない場面は、「打点とは?」にまとめています。
成績はどう変わる?
| 成績 | 犠打 | 犠飛 |
|---|---|---|
| 打席 | 1増える | 1増える |
| 打数 | 増えない | 増えない |
| 打率 | 変わらない | 変わらない |
| 出塁率 | 変わらない | 下がる(分母に入る) |
| 長打率 | 変わらない | 変わらない |
| 投手の記録 | 被犠打が1つ。アウトなので投球回も増える | 被犠飛が1つ。投球回も増える |
犠飛が打数に入っていた時代もある
犠打と犠飛を打数から外すのは、チームのために自分がアウトになった打席だから、と考えられています。ただ、犠飛の扱いは、昔から決まっていたわけではありません。メジャーリーグでは、犠飛を打数から外したり、また打数に戻したりをくり返していて、今の形になったのは1954年です(出典:Wikipedia「Sacrifice fly」)。
有名なのが、テッド・ウィリアムズが打率.406を残した1941年です。この年は、犠飛が打数に入る決まりでした。犠飛の打席を打数から除くと、打率は.419ほどになっていたという推定もあります(同じ出典。作家のロバート・クリーマーによる推定)。
犠飛が出塁率の分母に入る理由は、「出塁率とは?」で説明しています。
学生野球や草野球で見るときの注意
犠打・犠飛の決まりは、プロでも学生野球や草野球でも同じです。チームの記録を見るときは、次の点に注意しましょう。
- 犠打の数は、選手の力より作戦で決まります。監督が送りバントのサインを多く出すチームでは、打順の2番などに犠打が集まります。犠打の数で選手を比べるより、サインが出たときに決めた割合を見るのがおすすめです
- 「送りバントか、安打を狙ったバントか」は、スコアをつける人によって判断がぶれやすいところです。サインが出ていたバントは犠打、とチームで決めておくと、記録がそろいます
- 外野に芝が無いグラウンドでは、内野と外野の境目が分かりにくいです。内野手が後ろへ下がって捕ったフライで走者が還ったときは、外野まで下がって捕ったかで犠飛かどうかを決めます
Bmcs で犠打・犠飛を入力する
プレー毎の入力では、打席の結果の「その他」から「犠打」「犠飛」を選びます。0アウトか1アウトで、走者がいるときだけ押せます。

- 犠打:打球の種類は「ゴロ」に決まっています。打球を処理した野手を選ぶと、打者はアウト、走者は1つずつ進みます。守備の回は、処理した野手の補殺と一塁手の刺殺が自動で付きます
- 犠飛:打球を捕った野手を選ぶと、打者はアウト、走者は1つずつ進みます。三塁走者は生還になり、得点には「打点」「自責点」が付きます。二塁走者も還ったときは、二塁走者の「本」を押します
- フライ(アウト)を選んで、走者が還ったとき:確認の画面に「犠飛として記録」のボタンが出るので、押すと犠飛に変わります
- 犠飛なのに点が入っていないとき:確認の画面にお知らせが出ます。走者が還らなかったなら、「結果を変更」でフライ(アウト)にしましょう
- 野選・失策で打者が生きたとき:結果は「犠打」のまま、打者の「一」を押します。失策のときは、「+失策など」から失策をした野手を選びます。犠飛で外野手が落球したときも同じです
- 先の走者がアウトになったとき:犠打ではなく、ふつうの「ゴロ」で入力して、確認の画面で打者を「一」、アウトになった走者を「アウト」に直します(野選とは?と同じ入れ方です)
手順は、ヘルプ「試合を入力する(プレー毎)」にあります。
試合結果のみで入力する試合では、野手の「犠打」「犠飛」、投手の詳しい投球の「被犠打」「被犠飛」の欄に数を入れます。打数には、犠打・犠飛の打席を含めずに入れます。被犠飛は、0のときも「0」を入れましょう。空欄の試合は、投手の被OPS(被出塁率)の計算に入りません。入れた数は、「野手成績詳細」の犠打・犠飛の列で見られます。入力のしかたは、ヘルプ「試合を入力する(試合結果のみ・まとめて入力)」にあります(被犠打・被犠飛は「詳しい項目」)。
まとめ
- 犠打は、2アウト前のバントで走者が進み、打者がアウトになったときの記録です
- 犠飛は、2アウト前に外野手がフライ・ライナーを捕り、そのあと走者が本塁に還ったときの記録です。ファウルフライでも、二塁走者が還っても犠飛です
- どちらも打数に入らないので、打率は下がりません。出塁率の分母に入るのは犠飛だけです
- 先の走者がアウトになったバント、安打を狙ったバント、点が入らなかった外野フライは、打数1です
- 野手が先の走者を狙って全員セーフになったバントは、野選ではなく犠打です。スクイズで点が入れば、犠打に打点が付きます
- Bmcs では、「その他」から「犠打」「犠飛」を選びます
送りバントも犠牲フライも、チームのための大事な打席です。きちんと記録して、打率が下がらないようにしてあげましょう。Bmcs は無料で、スマホから試合のスコアを入力できます。まずはサンプルチームで体験してみてください。