振り逃げは、捕手が第3ストライクの投球を捕れなかったときに、三振した打者が一塁へ走れる決まりです。振り逃げができるのは、一塁に走者がいないときか、2アウトのときだけです。打者が一塁に生きても、記録は三振のままで、あわせて暴投・捕逸・失策のどれかを付けます。
この記事では、振り逃げができる条件と、打者をアウトにする方法、スコアの記録の付け方を整理します。打点・自責点がどうなるかと、Bmcs での入力方法も解説します。規則は、公認野球規則の 5.05(a)(2)・5.09(a)(2)・9.04・9.13・9.15・9.16 に出てきます。
振り逃げができる条件
捕手が第3ストライクを捕れなかったとき、打者が一塁へ走れるかどうかは、一塁の走者とアウトの数で決まります(5.05(a)(2))。
| 一塁の走者 | 0アウト・1アウト | 2アウト |
|---|---|---|
| いない | 振り逃げできる | 振り逃げできる |
| いる | できない(打者はその場でアウト) | 振り逃げできる |
一塁に走者がいて2アウトより前のときは、捕手が捕れなくても、第3ストライクの時点で打者はアウトです(5.09(a)(3))。2アウトなら、一塁に走者がいても振り逃げできます。満塁でも同じです。
見逃し三振でも、ワンバウンドを捕っても振り逃げになる
「振り」逃げという名前ですが、規則は空振りか見逃しかを区別していません。見逃しの第3ストライクを捕手がこぼしたときも、条件を満たせば打者は一塁へ走れます(出典:NPB「【記録員コラム】三振=アウトではない!?」)。
もう1つ見落としやすいのが、ワンバウンドした投球です。三振が成立するのは、捕手が投球を地面に落とさずに捕ったとき(正規の捕球)だけです(5.09(a)(2))。ワンバウンドの投球を空振りした場合は、捕手がミットに収めても正規の捕球ではないので、打者は一塁へ走れます。捕手がこぼしていなくても、振り逃げは起きるということです。
振り逃げの打者をアウトにするには
振り逃げで走り出した打者は、ふつうの打者走者と同じです。守備側は、次のどちらかでアウトにします。
- 打者にタッチする:捕手がボールを拾って、走り出す前や一塁へ向かう途中の打者にタッチします
- 一塁へ送球する:打者が一塁に着く前に、一塁手がボールを持って一塁を踏みます。記録は「2-3」です
2アウト満塁のように、塁がすべて埋まっていて全員に進塁の義務があるときは、捕手が本塁を踏むだけでも、三塁走者の封殺で3アウトにできます。
一塁へ走らない打者は、ダートサークルを出たらアウト
振り逃げに気づかずにベンチへ戻りかけた打者は、本塁の周りの土の部分(ダートサークル)を出た時点でアウトになります(5.05(a)(2) の原注)。逆に言えば、ダートサークルの中にいるうちは、まだ一塁へ走れます。
プロ以外の試合では、守備側が「三振でチェンジだ」と思ってベンチに戻ってしまうことがあります。2007年の高校野球の神奈川大会の準決勝(東海大相模-横浜)では、2アウト一・三塁でワンバウンドの投球を空振り三振した打者に捕手がタッチせず、横浜の選手がベンチへ引き上げる間に、打者を含めて3人が生還しました(出典:ベースボールチャンネル「振り逃げ3ラン…?」)。打者がダートサークルの中にいたので、アウトにはなりませんでした。
守る側は、第3ストライクを捕れなかったら、タッチか一塁への送球を必ず済ませるようにしましょう。攻める側は、捕手がこぼしたら、まず一塁へ走るのがおすすめです。
試合を観てると「この状況振り逃げあったっけ?」と一瞬では判断できずに捕手がとりあえずタッチするのはあるあるだと思いますが、ヘタに考えて判断ミスするよりかは全然いいですよね!とりあえずタッチと、ツーストライクになったらワンバウンドに備えるのは大事です!
一塁に走者がいると振り逃げできない理由
一塁が埋まっていて2アウトより前のときに振り逃げを認めると、捕手がわざと第3ストライクを落として、本塁から二塁・一塁と転送して併殺を取ることができてしまいます。打者も一塁走者も、走らなければならないからです。
MLB によると、振り逃げは野球の初期のルールの名残です。1887年に、この「わざと落とす」守り方を防ぐために、一塁に走者がいて2アウトより前のときは振り逃げできない、今の形になりました(出典:MLB.com「Odd, but not out: Baseball's most bizarre rule」)。2アウトなら、どの塁でアウトを1つ取ってもチェンジなので、わざと落とす意味がありません。
振り逃げのスコアの付け方
振り逃げは、打者がアウトになっても、一塁に生きても、記録は三振です。打者には三振、投手には奪三振が付きます(9.15(a)(3))。そのうえで、打者が一塁に生きた理由を、次のどれかで付けます(暴投・捕逸は 9.13。失策は上の NPB の記録員コラムの例)。
| 打者が生きた理由 | 記録 |
|---|---|
| 投球がそれて、捕手が普通の守備でも止められなかった | 三振 + 暴投(投手に付く) |
| 普通に捕れる投球を、捕手が捕れなかった | 三振 + 捕逸(捕手に付く) |
| 捕手が拾い直した後の一塁への送球がそれた(よい送球ならアウトだった) | 三振 + 失策(送球した捕手に付く) |
暴投か捕逸かの分け方は、投球の間の暴投・捕逸と同じで、普通の守備で止められた投球かどうかです。ワンバウンドの投球を捕手が止められなかったときは、暴投です(9.13(a))。打者がアウトになったときは、三振に加えて、一塁へ送球したなら捕手の補殺と一塁手の刺殺(2-3)、タッチしたなら捕手の刺殺を付けます。刺殺・補殺の付け方は、「刺殺・補殺とは?」で説明しています。
振り逃げで成績はどう変わる?
| 成績 | 振り逃げの扱い(打者が一塁に生きたとき) |
|---|---|
| 打者の打数・三振 | 入る |
| 打者の安打・出塁 | 入らない(塁に出ても、出塁率の分子には数えない。打数には入るので、出塁率は下がる) |
| 投手の奪三振 | 入る |
| 投手の投球回 | 増えない(アウトにならないため) |
| 投手の WHIP | 入らない(被安打でも与四球でもない) |
| 投手の暴投・捕手の捕逸 | 付けたほうが入る |
奪三振が付くのにアウトが増えないので、1イニングに4つの三振を奪うことがあります。日本のプロ野球の二軍では、1イニングに5つの三振を奪った記録もあります(出典:上の NPB の記録員コラム)。奪三振率への影響は、「奪三振率とは?」にまとめています。
出塁率で振り逃げを数えない理由は、「出塁率とは?」で説明しています。
振り逃げで押し出された得点に、打点は付かない
2アウト満塁で振り逃げになると、打者が一塁へ走るので、三塁走者は押し出されて本塁へ還ります。四球の押し出しと似ていますが、打点は付きません。押し出しで打点が付くのは、四球・死球・打撃妨害・走塁妨害で打者が一塁へ進んだときだけだからです(9.04(a)(2))。打点が付く場面は、「打点とは?」で整理しています。
暴投なら自責点、捕逸・失策なら自責点にならない
振り逃げで一塁に生きた打者が、あとで還ったときの自責点は、一緒に付けた記録で変わります。
- 暴投:自責点になりえます。規則は、第3ストライクの暴投で打者が一塁に生きた場合を、自責点になる得点の例に挙げています(9.16(a))
- 捕逸・失策:自責点になりません。自責点は、失策と捕逸がなかったものとしてイニングを組み立て直して決めます(9.16)。捕逸や失策がなければ、打者は三振でアウトだったからです
捕逸・失策の振り逃げは、組み立て直すとアウトが1つ増えるので、ほかの走者の得点にも響きます。たとえば、2アウトから捕逸の振り逃げで打者が生き、次の打者が2ランを打ったときは、本来は三振で3アウトのチェンジだったので、2点とも自責点になりません。
自責点と失点の違いは、「防御率とは?」で説明しています。
Bmcs で振り逃げを入力する
プレー毎の入力では、結果の「その他」にある「振り逃げ」を押します。一塁に走者がいて2アウトより前のときは、振り逃げは起こりえないので押せません。このときに捕手が第3ストライクを捕れなかったら、ふつうに「空振り三振」「見逃し三振」で入力します。その間に走者が進んだときは、確認の画面で走者を進め、「+失策など」から暴投か捕逸を足します。

- 打者が一塁に生きたとき:初期値は、打者が一塁に生きて、押し出される走者だけが1つ進む形です。確認の画面に「暴投(WP)だった」「捕逸(PB)だった」のボタンが出るので、どちらかを押すと、投手の暴投か捕手の捕逸が記録されます。送球がそれて生きたときは、「+失策など」から捕手の失策を足します
- 打者がアウトになったとき:確認の画面で、打者を「アウト」に直します。守備の回は、捕手の補殺と一塁手の刺殺(2-3)が自動で付きます。捕手が打者にタッチしたときは、一塁手の刺殺の札を「変更」で捕手に直し、捕手の補殺を「×」で消します
- 振り逃げで押し出された得点:初期値は「打点なし」「自責点あり」です。捕逸・失策で振り逃げになったときは、「自責点」を押して外します
どの場合も、打者の三振と投手の奪三振に数えます。選手の分析では、振り逃げは空振り三振に数えます。
振り逃げで一塁に生きた走者が、あとの打者の安打などで還ったときは、得点の初期値はそのときのプレーで決まります。捕逸・失策の振り逃げで出た走者の得点は、「自責点」を押して外しましょう。2アウトからの捕逸・失策の振り逃げなら、そのイニングのあとの得点も、すべて自責点から外します。手順は、ヘルプ「試合を入力する(プレー毎)」にあります。
試合結果のみで入力する試合では、振り逃げは野手成績・投手成績の三振に含め、空振り三振の数にも入れます。
まとめ
- 振り逃げは、捕手が第3ストライクを捕れなかったときに、打者が一塁へ走れる決まりです。一塁に走者がいないときか、2アウトのときだけできます
- 見逃し三振でも、ワンバウンドの投球を空振りしたときでも成立します。打者はダートサークルを出るまでは走れるので、守備側はタッチか一塁への送球を忘れずに
- 一塁に走者がいて2アウトより前のときにできないのは、捕手がわざと落として併殺を取るのを防ぐためです
- 記録は必ず三振で、打者が生きたら暴投・捕逸・失策のどれかを一緒に付けます。アウトが増えないので、1イニングに4つの三振もありえます
- 押し出された得点に打点は付きません。打者が還った得点は、暴投なら自責点になりえ、捕逸・失策なら自責点になりません
- Bmcs では「その他」の「振り逃げ」を押し、確認の画面で暴投か捕逸かを選びます
振り逃げは、守る側の油断がそのまま失点になる場面です。スコアをつける人も、三振のあとに捕手が捕れたかどうかを見ておきましょう。Bmcs は無料で、スマホから試合のスコアを入力できます。まずはサンプルチームで体験してみてください。